コース改良は改善?改悪?


 その一

ティインググランドからグリーン、カップへと向かい、段々とターゲットが狭くならなければならないゴルフという競技に於いて、グリーンが
二つあり、ターゲットが広くなる日本のゴルフ場は諸外国から見れば?の存在だったのでしょうか?

今は名門コースと呼ばれる古いコースでは、寒暖の差が激しい四季のある日本という風土、今のように品種改良されていない芝の状況
の元、二つのグリーンを交互に使用するしかなかったか、コーライ芝のワングリーンにするしかなかったのでしょう。余談ですが、今年の
猛暑ではかなりのコースのグリーンに悪影響が出たようですが、知人が先日お邪魔した「鳴尾ゴルフ倶楽部」はコーライのワングリーンで
コンディションは最高だったようです。夏はやっぱり高麗芝でしょうか・・・(笑;)

それが芝の改良等の緒事情により、一年中使用出来るベント芝の開発から、こぞってワングリーンにするコースが増えているような気が
します。近い所では井上誠一設計の「霞ヶ関カンツリー倶楽部」の西コースを川田太三氏がワングリーンに改造しましたし、「茨木カンツリー
倶楽部」・西コースも某トレント何とか何とか氏によって7400y超のワングリーンのコースに改造するそうです。

将来的には、今は関西地区の名門と称されているコースを巡って開催されている「パナソニックオープン」を、松下電器発祥の地である
大阪で恒久的に、それならば交通の便の良い、ここ茨木CCで開催したいと思っているのかも・・・?

で、コース改造に関してなんですが・・・

「広島カンツリークラブ・八本松コース」の9番ホールは460yのパー4(HDCP1)の長いミドルホールです。

ティーショットはタイトな打ち上げで、ややS字を描くホールですが、私が印象深いのは、初めてこのコースにお邪魔した時には多分?
白マーク(416y)からで、セカンドショットはウッドだったですが、これが中々のナイスショットで、真っ直ぐグリーンの花道を向いて転がって
行ったのですが、このグリーン手前の余計なマウンドであさっての方向に転がってしまいました。

その時は、こんな長いホールで結果オーライを善しとしない上田氏は嫌いでした・・・(笑;)が、今回再び訪問し、「改造する前は素直な
グリーン周りでしたが、ワングリーンにする時にこのマウンドが造られたんですよ」とのコメントを聞き、少しは安心しましたが、設計者の
意向を聞けないコース改造って難しいのでしょうか?


その二

2010年度(第75回)日本オープンゴルフ選手権競技は愛知カンツリー倶楽部で開催されましたが、優勝スコアは 7084y Par71 で 
-13でした。 以前開催された、同じコースでの第92回日本アマでは 6961y Par73 の設定でしたが、予選トップは -11でした。

6506y Par72の近鉄賢島カンツリークラブで開催された2010年度の「ミズノクラシック」は、韓国の申ジエが-18で優勝しました。

クラブとボールの性能が飛躍的に進歩した現状では、名門コースでの競技開催は現状のままでは、パー72での開催は
困難な状況では無いでしょうか?

今年大阪ゴルフクラブ(6351y Par72)で開催された「南都オープン」での優勝スコアは二日間開催で -16 (61・63) ですが、
ロングホールの短い当コースこそ、パー68の設定で良かったのかも知れません。勿論!、バーディ合戦を求めておられるのなら、
それらの全ては余計なお節介ですが・・・(汗;)

「廣野ゴルフ倶楽部」、2番ホールのバンカー群です。左側を越えるのには
約230y、右側は約210yのキャリーが必要です。
「小野ゴルフ倶楽部」の10番ホールのバンカー群です。これを越えるには
約220yのキャリーが必要です。

これらのバンカー群を今のプレーヤーは平気で越えて行くのです(羨;)。溝よりこっちの方が問題では!?(汗;)


その三 

で、今更総ヤード数を増やせないコースが考える事と言えば、コースの改良・改善(改悪?)です。

上の左画像は「小野東洋ゴルフ倶楽部」の1番ホールのセカンド風景です。ここに右画像のようなポットバンカーが増設されました。

2010年10月26日(火)〜10月29日(金)まで開催されたJGTOのサードQTに出場した、サードQTは殆ど「小野東洋ゴルフ倶楽部」に
出場しているプロから聞いたコメントを紹介致します。

「今年の小野東洋は恐ろしいほど難しかったです。来年日本プロを開催する事もあって、ラフがいつもより長く、フェアウェイも
狭くなっていました。1番ホールのポットバンカーは、刻む人にとっては何の問題も有りませんが、ドライバーを打つ人には
丁度入る距離で、あのバンカーに入ったら必ずボギーになると思います」

との事でした。余談ですが、これで益々「小野東洋ゴルフ倶楽部」が嫌いになったとありました・・・(笑;)

ゴルフコースのアウト・インには設計者の意図した起承転結が有るのでは無いでしょうか? 「東京よみうりカントリークラブ」を設計した
井上誠一氏と、アウトとインの入れ替えを希望する、コースのオーナーの正力松太郎氏との間でいざこざが合ったと言う話を聞いた事が
有ります。井上氏の頭にはパー3で終えるコースなんて考えられ得ない事だったのでしょう。しかし、今やトーナメントコースとして認知
された名物最終ショートホールとなった現状を見たら、彼は何と言ったでしょうか・・・?

「小野東洋ゴルフ倶楽部」を設計した上田 治氏の胸中には、今から打ち上げの砲台グリーンが待ち構える、長いタフなホールが
続くので、スタートホール位(当然!王道のアウトスタートでのお話です。「廣野ゴルフ倶楽部」ではアウトのトップスタートから数十分は
メンバータイムで、インからスタートする組は殆ど無いそうです)は、伸び伸びとドライバーを振って貰いたいという母心からのホール
設計でしたでしょうに、フロントティーからのナイスショットがあんなポットバンカーに捉まり、欲張って次打で出せず、ダボやトリプルを
叩くようものなら、いきなりコースに幻滅では?


その四

下の画像は「岐阜カンツリー倶楽部」の16番のロングホールです。バックティからは499y、レギュラーティからは488yと
短いロングホールです。そのためにホールを難しくしようと?真ん前にフェアウェイバンカーを設置しました。

バックティからは約260yで越えて行くそうですが、景観的に如何なのもでしょうか?

こんなバンカーを作るくらいなら下のパンフレット掲載時のオリジナルデザインのままで、

「箕面ゴルフ倶楽部」の5番ホール(BT459y/RT 439y Par4/5)のように普段はイージーなロングホール、クラブ競技等時には
難しい長いパー4のホールとして使用した方が良かったようにも思います。


その五

岐阜県の「富士カントリー可児クラブ 志野コース」の13番ホールです。

やや右ドック、距離的にはBTから394y、FTから359yのやや短め?のパー4です。

フェアウェイに大中小の池が3つ、おまけにグリーン右サイドにも2つの池

グリーンから見たフェアウェイの大中小の池(汗;)

ドライバーでど〜んと飛ばし、セカンドは短いクラブでチョンと乗せる式のパー4のホールでしたが、フェアウェイに池を3個
作る事に拠って攻め方が変わったホールでしょうか!?

グリーン右の池はセカンドはショートアイアン〜ウェッジで打つために引っ掛けの方が多いであろうから製作意図は?
ですが・・・


その六

岐阜県の「富士カントリー可児クラブ 志野コース」の17番ホールです。

RTから550y、BTからは577yのパー5です。フェアウェイのクリークの流れに沿って?
オブジェのようなバンカー群が作られました。RTからバンカーまでは約240yとの事なので、
BTからではドライバーは持ち辛いでしょうか・・・

ティーショット、セカンドと繋いでこのポジションです。またまたバンカー群が待っています。
私のこのポジションからのサードショットの残り距離は約180yでした。

フェアウェイを蛇行するクリークに入らないように配慮したバンカー群なのか?それとも他に何か意図するものは有ったのか!?

これでツーオンの狙い難いパー5になったことは間違いないと思います。

コースの改善・改良は、改悪と紙一重では無いでしょうか?


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